第61章

胸に白い花をつけた男は、濁りつつも鋭い目を細め、墓園の方角へ視線を向けた。

「妹のたった一人の娘だ。必ず連れ戻さねばならん。だが、今ではない」

「はい」運転席に座る男が応じた。「現在は内憂外患の状況ゆえ、お嬢様が戻られるのは確かに危険かと。藤原さん、ではこれよりG国へお戻りになりますか?」

「お前たちは先に帰れ。私はまだ会うべき人間がいる」

「はっ」

……

島宮奈々未が母の墓碑を見つけると、なんとその前には花束が供えられ、まだ新しい線香の跡が残っていた。

誰かが墓参りに来たのだ。

島宮健太が不思議そうに尋ねる。「姉さん、誰が母さんのお参りに来るんだろう」

奈々未にも見当がつ...

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